2005年11月定例会  一般会計補正予算 反対討論

 私は日本共産党浜松市議団を代表して、第416号議案平成17年度 浜松市一般会計補正予算(7号)に反対の立場で討論を行ないます。

 今回、一般会計補正予算には債務負担行為として、7小中学校を対象とする学校給食調理業務委託費に要する費用8020万円が計上されておりますが、私は、このような住民への説明も同意もなく強引にすすめる、民間委託ありきの教育委員会の姿勢に大きな疑問を持つものです。

 また突如指定された7つの小中学校の父母や子どもたち、給食職員や地元の食品納入業者のみなさんの驚きはいかばかりであったか計り知れません。
 今回、指定された小中学校は、すべて直営で、安心で安全、豊かな学校給食がおこなわれてきています。

 旧細江町では長年、学校給食に栄養士、調理員、食材供給関係者、保護者などが協力しあって地場産の食材を取り入れ、地域の特色を生かした食教育に取り組んできています。

 このような取り組みを「民間委託する理由の一つとして、正規職員が配置されておらず、臨時職員のみの調理業務では責任の所在が不明確であり、何かあった時に責任がとれない」として否定する教育委員会のやり方は、将来の教育行政に大きな禍根を残すものといえます。

 このようなことから今、市民の教育委員会に対する不信の念が広がっており、特に合併した周辺地域のみなさんからは「これが合併なのか?」と、合併そのものに対して疑問の声が出てきています。

 私が、補正予算に強く反対する理由の1点目として、保護者をはじめとする関係者への説明も無く、同意も得られていない段階で、学校給食を民間委託していくやり方は、北脇市長が常日頃からモットーとしている、公平公正で開かれた市政、住民本位の市政に反しているのではないでしょうか。

 また教育委員会法第1条の「公正な民意により地方の実情に即した教育行政を行うために教育委員会を設け教育本来の目的を達成することを目的とする」という理念に反するものであるということです。

 細江町での「市長のお出かけ懇談会」では、市長みずから、「学校給食のことでは、みなさんにご心配をかけ申し訳ない」といみじくも語られたように、学校給食の民間委託は本年4月開校の大平台小学校での状況をみる中で、今後の学校給食をどうしていくのかを検討をしていくという試行中のものであり、しかも民間委託で進めることが議会で合意がされていない段階での提案であり、賛成できるものではありません。 
 
 2点目としては、学校給食の民間委託は合併時の調整方針にも反するということです。

 合併時の調整方針では、原則として学校給食の実施方式は、旧市町村の方式を継続するとなっており、学校給食の民間委託はこの基本的確認事項にも反するものです。

 それを教育委員会は、学校給食の実施方式とは「自校方式にするかセンター方式にするかである」との苦しい言い訳をしていますが、それならばなおのこと、一言も合併時の調整方針にでてきていない「民間委託」についてどのように説明されるのでしょうか。

 それぞれの地域で学校給食がどのように取り組まれ、育まれてきたのか、地域での評価はどうなのか等、また、給食に関わるみなさんの思い等をしっかり検証されたのでしょうか。

 あまりにも拙速で強引な進め方は、合併した周辺地域のみなさんから大きく批判をされるものとなっています。旧細江町での「市長のお出かけ懇談会」では、市長みずから、「学校給食のことでは、みなさんにご心配をかけ申し訳ない」と前置きしての話になりました。合併時の約束どおり、従来の方法で安全安心の学校給食を継続すべきものと考えます。

 3点目は、民間委託の根拠であるコストの縮減にはつながらないという点です。

 大平台小学校の場合、当初、直営とのコストの比較において、民間委託をすれば、年間1300万円削減されるとし、特に人件費での削減を大きな理由としておりました。

 民間業者の人件費は試算段階では、正規調理員1名と、パート4人の5人体制での試算でしたが、実際の人の配置は正規2人、パート6人の8人体制での業務になっています。

 冷凍食品を使わず、すべて手作りで時間内にやろうとすれば、それだけの人手がかかるのが当然ですが、実際にかかっている人件費を計算してみますと、650万円近くが当初の試算より多くかかっていることになります。また栄養士などの人件費を含めれば、直営の方が民間委託よりもコストがかからないというのが実態ではないでしょうか。

 また学校栄養職員の仕事が業者への指導や納入物資の発注、検収などで大幅に増えていることは、教育委員会も認めているところです。

 民間委託の最大の目的は、コストの削減にあるはずですが、具体的にコストを比較できるものが議会に提示されていません。
 
 4点目は学校給食の民間委託では安全でおいしい豊かな学校給食づくりはできないという点です。

 学校給食は、学校給食法によって公的な教育活動の一環として位置づけられています。しかし民間委託の場合、学校栄養士は給食の内容について調理員に直接指示することができません。

 また民間受託業者は利潤追求のために必然的に冷凍加工食品や低賃金のパートを使うなど、安上がりの給食を追及することになり、安全でおいしい豊かな給食ができるのか疑問です。

 ここに今回指定された学校の給食関係者からのFAXがあります。
 「浜松市に合併したとたん、臨時職員の首を切りやすい所を選んでの仕打ちとしたら、給食関係者は浜松市のアウトソーシングのいけにえ、子どもたちは被害者になる、関係者は子どもの命を預かる大切な仕事として、責任と誇りをもって携わっている、臨時だから責任体制が無いというのは理解できず、みんな怒っている。」というものです。

 地元食品納入業者のみなさんにおいては、それこそ死活問題になってきています。先日の文教消防委員会で、食品の納入について教育委員会は「民間委託をしても当面は地元の業者を使っていく」と説明していますが、いずれは受託業者が食品の納入もしていくことになっていくのではないでしょうか。
  
 以上のように学校給食法第1条「学校給食は児童及び生徒の心身の発達に資する」と定めているように学校給食は教育であり、人間つくりの原点であることから今回の学校給食の民間委託については反対をします。
  
 以上で討論を終わります。

(2005/11/20up)


   

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